January 13, 2007

西暦2050年、日本は「おば捨列島」になる

新年早々、暗い話題で恐縮ですが、これは既に起きた未来の話です。

2007年問題というのはまさに終わりの始まり。今から日本で起きる変化は、人手不足とか高齢化なんて生易しいものじゃない。世界史上未体験ゾーンの、国 が老衰死する過程の始まりだ。有史以来ずっと三角形だった人口ピラミッドが逆三角形にひっくり返る大転換で、生まれながらに巨大な岩を 背負わされる世代が、その重みに押しつぶされるティッピングポイントがいつか、逃れようもなくやってくる。

分裂勘違い君のエントリーは、産業競争力の面から、日本が終わっ たと言っているけど、人口の面から見ても、「日本が終わった」というのはネタでも誇張でもない。

夕張市はまさに日本の将来の姿だ。「弱者を切り捨てるな!国が支援しろ」と叫んでる人もいるけど、国そのものが破綻したとき、一体誰が残された人たちの面倒を見てくれるのだろうか?
その夕張市から市役所の幹部が丸々全員、責任を放棄して逃亡してしまうのだという。
自治体が破たんしても、よそに逃げることはできるかもしれないが、日本丸が沈没するとき、逃げ場はどこにもない。

「団塊の世代」の言葉を生み出した堺屋太一さんは最近、2007年問題について、こんな無責任なことを言っている。
「金と時間を自由に使える層が一気に生まれ、黄金の10年が始まる」と。
そら70歳のあんたが生きてるあと10年位は、もしかしたらいいかもしれない。だけど本当に目に見える転落が始まるのは、その団塊の世代が(80歳を 超え)寝たきりになる20年後以降なんだから。宋文洲さんも「人口が減ってどこが悪い?」「長生きしてどこが悪い?」と立て続けにピント外れなことを書いて るけど、耳ざわりのいい楽観論は、危機への対処を遅らせる点で、「政治的に」かえって有害だ。問題が先送りされるほど、事態は加速度的に悪化す る。今ある危機を正しく認識しないことこそが危機なのだ。

当たり前だけど、現役世代の人口は、減ることはあっても増えることは絶対にない。なので人口ピラミッドの将来像は、既に起きた未来といえる。年寄りだけ が疫病や戦争でバタバタ死んだり、今の高校生達が急に子供を3人も4人もポコポコ生むようにならない限り、トレンドが好転する見込みはない。つまり、この危機は確実にやってくる

とうい視点で、2050年の人口ピラミッド予想図(団塊の世代の次のカタマリ、団塊ジュニアが寝たきりになる頃)を見てみると

   
       
            
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なんといちばん多い年齢層が75-80歳の層になる!
80歳がマジョリティーの社会って一体!?

老人ホームや病院に収容されてるか、家のベッドの上に一日中いる人たち、生産も消費も不活発なうえ、巨大なコストがかかる人たちがマジョリティーの社会。そんな社会に、イノベーションが生まれるだろうか?だれが富を生み出すのだろうか?というよりも労働者1人が老人1人を面倒を見る比率になったときに、生産活動に振り向ける余力はあるのだろうか?

今の原油やマグロ以上に、労働力が希少資源になるだろうが、その貴重な労働力は、介護や医療や、先代が押しつけた莫大 な借金の返済にリソースを奪われ、富を生み出す民間企業は極度の人手不足と税負担にあえぐことになる。

いや日本の人口は減っても、世界全体の人口は爆発し続けている から、原油もマグロの争奪戦も今よりずっと激しくなる。だけどそれらを買う外貨を稼ぐ力はもうない。国内の少子化・老人の増殖と、世界の人口爆発は、ダブルで日本を苦しめ る。

その前の2035年頃からは、毎年香川県が丸ごと消滅するペース(年100万人)で人口が減っていく。街の盛り場の灯は消え、民家は廃屋だらけにな り、日本全体が、今の山奥の過疎地みたいになってしまう。今の過疎地とちがうのは、交付金というミルク補給をしてくれる今の中央政府のような生命維持装置が存在しないこと。 世話してくれる若者も今よりずっと少ない。

そんな社会は維持不可能だ。

もちろん、日本「国」の未来と、日本「企業」の未来はイコールじゃない。

もはや、日本の経済力を支えている企業は、植物ではない。
日本という土地から動くことのできない木や草ではない。
もはや、どこの国へでも行ける、動物になりつつあるのだ。
さっさと次へ行こう。もう日本という物語は終わったのです。

とっくにトヨタやホンダやソニーは外国に脱出してるでしょう。でも植物の日本「国民」はそうはいかない。

その時には、
①年寄りを姥捨山に捨てる
②日本で急に天才が山ほど生まれて画期的なイノベーションが生まれまくって今の労働者の3倍くらいの生産性が実現して、介護もロボットに任せる。
③外国から移民を「大量に」受け入れる

という3つ位しか選択肢がない。

このままだと①も十分にありえそうだから恐ろしい。借金を子孫にツケ回す「財政的幼児虐待」の被害者達の反逆だ。そのくらい社会に絶望感や不満や怒りが充満しててもおかしくない。

②は願望にすぎないので、結局(これが言いたかったのだけど)③移民を大量に受け入れる以外に、現実的に取りうる政治的選択肢はない。どんな社会的な摩 擦が生じようと、心理的抵抗が大きかろうと、だ。

もう日本人にとって、「幸せな選択肢」が残されていない以上、より破滅的でない方を選ぶしか道はないと思う。

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遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。
本年も気まぐれなペースで書いていくと思いますが、ご愛読、厳しいご指導のほどよろしくお願いいたします。

 





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December 14, 2006

Winnyよりもこの国のCODEこそ問題では

essaさんの過去のエントリーを通じて、レッシグ氏の至言を発見。

 著作権の保護が、創造性を損なうんじゃない。著作権を守る、という考え方そのものは重要だ。問題なのは、「出来損ない」の著作権保護が、創造性をダメにしてしまうという点だ。

とはいえ、今の著作権法が出来損ないであろうが、裁判官が現行法制度の番人である限り、既存秩序を、民主的な手続きによらずして、破壊しようとする人間を黙認できなかった、という判決も理解はできる。

だからこそ、根源的な問題は、Winnyにあるのではなく、裁判官が拠り所としている、この国を動かしている旧態依然としたCODE(法典)ということになる。

同じくレッシグ氏。

「ピアツーピア(P2P)を使った違法なファイル交換を認めることはできないが、P2Pそのものはネットワークの可能性を広げる重要な技術革新。デジタル 技術を使って、より多くの人たちが文化をつくり、共有できるんだということを、専門家だけではなく、一般の人たちにこそ理解してもらう必要がある。アジ テーション? その通りだ」

皮肉にも、47氏(金子さん)は古いCODEを壊そうとするアジテーションがすぎたために逮捕されてしまった。

80 名前:47 投稿日:02/04/11 00:26 ID:TuaSESIN main/1018434705.html#89
個人的な意見ですけど、P2P技術が出てきたことで著作権などの
従来の概念が既に崩れはじめている時代に突入しているのだと思います。

お上の圧力で規制するというのも一つの手ですが、技術的に可能であれば
誰かがこの壁に穴あけてしまって後ろに戻れなくなるはず。
最終的には崩れるだけで、将来的には今とは別の著作権の概念が
必要になると思います。

どうせ戻れないのなら押してしまってもいいかっなって所もありますね。

610 名前:47 投稿日:02/05/29 23:34 ID:InLwR5pp main/1022679290.html#48
       ミ\      我が名は.”47”     /彡
   へ   ⊂⊃へ   P2Pに真のマターリを /  彡゜+  . 
 /   \∧_∧ )   もたらすものなり /  彡       *
彡     ( ・∀・) ミ\著作権法に異議あり! 彡            :
 彡彡  ( つ つ   \+゜. .    /   彡  ゜*  .        ゜
     丿 )   ミ    \   ゜: /   彡  ゜:     :        *
            \    \   /*  /      *    +
ミ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\  |  |  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄彡   ゜+
 ミ              \  ⊂⊃  /             彡
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄\ ∧_∧ / ̄ ̄\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
     ゜: .  /   / ̄ ( ・∀・ ) ̄\.   \ +゜.      ⊂⊃
       */   /   ⊂ 47 ⊃   \    \    ゜+.へ∧_∧ /\
       /    │  / | | |\  │    \ * /  (´∀` )   \
     /    /│  ミ. (__|__)彡  │\.    \゜彡/⊂ ⊂ ) \  ミ
     彡   /゜*│  ミ       彡  │  \   ミ 彡 :+ ( (    ミミ
      彡/.  │  ミ ゜+.    彡  │ +゜ \ ミ            +゜.
          ゜+. \  ミ       彡  /       *    ゜:       :
              \ミ   ゜*  彡/     ゜+   ゜+    *        *
 アリガタヤ  オオ、47サマ          イマコソ マターリヲ  ウサン クセーヨ・・・
  ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧       ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ +
 ( ゜∀゜)( ゜∀゜)( ゜∀゜)      (゜∀゜ )(゜∀゜ )(・∀・ ;) ゜+ ゜.
 (つ  つ(つ  つ(つ  つ     ⊂ ⊂ )⊂ ⊂. )⊂ ⊂ )     *
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しかし、今回の判決は有罪とはいえ、求刑が懲役1年に対して罰金150万円というのは、検察側の敗北に近い量刑だし、判決文の中で相当に被告への理解を示している点に、裁判官の苦渋が読み取れる気がする。

勝手に裁判官の心情を察すると「被告が法廷にお縄で引かれてきてしまった以上、現行の著作権法を前提とすれば、シロかクロかと言われればクロと言うしかない。だけどこの人を白州にしょっ引いてくる必要はあったの?」

 裁判所からの「この事件は起訴すべきだったかどうか再検討したほうがいいのではないか」という検察批判メッセージを読み取ることも不可能ではない感じの判決です。(元検弁護士のつぶやき

とにかく、日本の法律というのは、赤外線センサーがクモの巣状に張り巡らされ、どんな善良な人間も、少しでも手や足を動かせばカラメ手にあうようできている。ひとたび警察に目を付けられたら最後、どんな微罪だろうと別件だろうと逮捕されてしまう。オウム信者や共産党員だったら、ビラを住宅のポストに入れただけで不法侵入罪で逮捕されてしまうように。

一方で、警察のリソースには限りがある。日本人全員が犯罪者であるならば、誰を何で立件するかは、ひとえに捜査当局の裁量に委ねられている。その恣意性こそが捜査当局の力の源泉であるわけで、逆に例えば警察の裏金問題のように「なにを逮捕しないか」という不作為の側の責任を問われることはない。

話がうまくまとまらないけど、今回の判決は、この国の古めかしいCODE、恐竜のように融通の利かないレガシーシステムの深刻さをあぶり出した点で意義があったと思う。

「エルドレッド裁判」の教訓とは、この問題について、一般の人たちが関心を持つようにならなければ、我々に勝ち目はない、ということだ。著作権問題が多くの人たちの関心を引くようになった時、裁判所もまた、この問題を考え始めるだろう。(レッシグ氏インタビュー)

京都地裁や大阪高裁に、このネット上の大反響は聞こえているのだろうか?

最後にessaさん。まずはこっちを読んでもらって、

現実のこの国には「機長」がいません。文化政策の長期ビジョンを作る責任者はいったい誰なのか。47番の男はいったい誰に自分の認識した危機を訴えればよかったのか。圏外からのひとこと(2004-05-12)

CODEを書く人も、CODEを運営する人もみんなスパゲティ状態にフリーズしちゃってて、民主主義的な手続きなんてものを待っていたら、この国は墜落してしまいそうだ。なんたって1000兆円の借金があっても天下り斡旋すら廃止できない国なんだから。

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December 11, 2006

天下り問題に怒りのバトン

現役官僚のbewaadさんのリクツに(続編も含め)全く納得がいかないので、天下りバトンに参加します。

天下り斡旋全廃のみがとおって平均的な待遇が下がり、その分だけ人材の質が下がるだろう、ということになります。それでもよろしければ、どうぞ。

天下り斡旋制度がなくなれば、キャリア官僚の待遇(生涯賃金)が下がり、優秀な人材が霞が関から逃げ出したり、残った人のインセンティブも下がるんだという。

え、なんで?

まず、誤解している人もいるようなので、議論の出発点として念のため触れておくと、民間委員は決して「天下り禁止」といっているのではない。「天下り斡旋制度を廃止すべき」だと言っているだけ。また「その能力や技術を活かした通常の転職とすべきである」と書いてある通り、優秀なキャリア官僚の皆さんも一般の人と同じように、通常の転職市場を通じて再就職を見つけて下さい、という至極真っ当な提言にすぎない。

不透明な制度を透明にしましょうと、いっているだけなのに、なんで霞が関や関係のない国会議員が反対するのか全く理解できない。

もしキャリア官僚の方が優秀で、民間企業から引く手あまたなら、別に自分の職場に斡旋してもらわなくたって、自分の実力で転職市場を通じてそれ相応の好待遇で迎えられるでしょう。

なのに反対するのは、今の不透明な制度によって不当に高いプレミアム付き報酬をもらっている、これは既得権益なんだと自ら認めているようなものなのでは?それに「自分たちは優秀」というキャリアさんの自画像に反して、要らない人材を無理やり民間に押しつけてるだけなんじゃないの?

引き続きbewaadさんのリクツ

仮に優秀な官僚がいて、とある民間企業がその人材を欲しいとしましょう。その企業にとって、その官僚が20代~40代の働き盛りの年齢で転職してくるのと、役所でしかるべく勤め上げて50代になってから転職してくるのと、どちらがいいかを考えれば前者に決まっています。

官僚の転職市場における価格については、時間の経過による減衰が相当ある。

つまり優秀な人材を霞が関に引き留めておくには、市場価値が下がった50代を過ぎてからも、安心して高い報酬がもらえる天下り先を保証しておく必要があるのだという。

い や、別に官僚だけじゃなくて、世の中の人間全般が、スゴロク上がった50、60代よりも働き盛りの20~40代の方が転職市場で価値が高いのは当たり前でしょう (真のプロフェッショナルな人材は別として)。別にキャリア官僚だけが特別じゃない。なんでそんな官僚個人のキャリア選択を国民の税金や民間企業の負担で面倒見なきゃいけ ないのか?

そもそも、その優秀な人材が組織にとどまって事務次官になれば、例えば最近の旧厚生省事務次官経験者(近藤純五郎氏)の例で言うと、退職までの総報酬は5億1148万円(内退職金 8423万円)だという。これって世間の相場から言えば、十分な額なんでは?

しかもその後に天下り先を転々として、退職後だけでもプラス10億円(大卒男性の平均生涯賃金の3倍以上!)が上乗せされるというんだから、何が「インセンティブを維持するため」だ、といいたくなる。

その他にも、突っ込みどころが満載なのだけどキリがないのでやめとく。今更天下りの弊害について議論するまでもないし。

利害関係者たる現役官僚の発言はあてにならないので、実際に霞が関を飛び出した「優秀な人」の話を聞いた方が参考になる。いずれも元キャリア官僚の民主党国会議員です。

民主党参議院議員 ふじすえ健三: 「天下り」について
京都から、この国のかたちを変える 松井こうじメールマガジン | melma!

念のために申し添えておくと、自分は霞が関を一方的にバッシングするつもりはないし、優秀なキャリア官僚の皆さんにそれなりの待遇改善を含めた処遇が必要だという点には全く異論がない。理不尽な霞が関カルチャーが、優秀な頭脳リソースを浪費している現状は日本全体にとって不幸なことだし、こうした弊害を改善する方向に議論は展開しないといけない。

だけど、国民全体から養分を吸い取る地下茎のような公益法人の問題を含め、天下りのあまたの弊害に目をつぶって、「報酬が下がれば人材の質が下がる」とのたまう霞が関の論理には、ポピュリズムだろうがなんだろうが、やっぱり国民が怒りの声を挙げなきゃいけないんじゃないか?




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December 01, 2006

WEB2.0時代に沈黙は「悪」である

磯崎さん発の議論に便乗。

読んで感じたのは、web2.0の時代において、はっきりしているルールは、「沈黙は悪」である、と。

我々はみんな「参加せよ!」「発言せよ!」「データはすべてWEBサーバーに放り込め」という暗黙の圧力にさらされている。ブログしかりSNSしかりwikipediaしかり。

ちょっと前に芥川賞作家の平野啓一郎さんが自身のブログで書いた文章が、この問題について全てを語り尽くしている。

ご存じない方もいるかもしれないけど、平野さんの著書にパクリ疑惑がもちあがり、平野さんからすればまったくの濡れ衣なのに、wikipediaにも盗作疑惑と書かれてしまった。それに対する平野さんの反論は、WEB2.0に対する見事な考察にもなっている。

ネット以前の世界では、「人の噂も七十五日」である。不当な噂(=情報)を流されても、無視しておけば、時間がそれを淘汰してくれる。・・(略)・・web2.0的な世界はそうではない。そこで情報は、最早誰のものでもない匿名の言葉となり、匿名の知となって、世界中を駆け巡る。誤った情報を放置しておくと、単にそれが何時までも残り続けるというだけではなく、様々な人の手を経て増幅し、増殖する。

 だからこそ、私は今、この6年前の出来事に関して、私自身の言葉を「参照可能な情報」として、新たにネット空間に付け加える必要を感じた。・・(略)・・時が解決してくれる、無視して関わりを持たないといった態度は、今日にまで至る長い人間の歴史の中では、不当な出来事に「巻き込まれた人間」が取り得る態度として、必ずしも消極的だというわけではなく、恐らくは、賢明であり、かつ有効なものと信じられていた。・・(略)・・しかし、それが「変わった」のである。しかも、まさしく今、「変わった」のである。

 web2.0以降、「巻き込まれた人間」は、ただ黙っていても、状況を改善されず、それどころか、悪化させてゆくこととなった。・・(略)・・その状況を不当と感じるならば、自らが積極的に、新しい情報となる言葉を発しなければならない。・・(略)・・梅田氏は、web2.0的世界では、最終的には51対49であっても、「正しいこと」が勝利するのではないかという見解を私に語った。・・(略)・・しかし、情報となる言葉を発しなければ、「正しいこと」であっても、100対0で敗北し得るのである。
平野啓一郎公式ブログ - web2.0的世界において、「名誉」を守るということについて

弾さんが言っていることも同じこと。

もし自分が気に入ったお店のWeb上での評判が異なるのであれば、自分はそう思わなかったという意思表明をしておくのが今の「ネティケット」かも知れません。

現実の政治でも、投票に行かない人は搾取されるように、グーグルのページランクという民主主義の下では、発言しない者はこの世に存在しないに等しい。

自分の名誉や利益を守るためには、誰よりもでかい声で叫び、ウェブという共同落書き帳の上に、絵の具で色を「上塗り」し続けないといけない。それが今の時代の新しいルールなんでしょう。

「ウェブ人間論」はまだ読んでないけど、こうした問題も触れられているのかな?

【補足】
ちょうどこんな記事も。
J-CAST ニュース : ウィキペディア編集方針 西和彦がモーレツ批判

インターネット上の百科事典「Wikipedia(ウィ キペディア)」にある「西和彦」の項目をめぐり、大騒ぎになっている。きっかけは、元アスキー社長である西和彦さん本人が記事の大部分を削除したことだっ た。さらに、同氏は「誰でも編集できる」編集方針を厳しく批判し、「嘘で嘘を塗り固めているようなもの」という挑戦的な言葉も投げつけており、今後も波乱 含みだ。

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November 26, 2006

トヨタと軍艦島と栄枯盛衰

さっきのNHKスペシャルのトヨタ特集を見ながらなんとなく感じたこと。

GMを抜き世界一が目前。営業利益は日本企業初の2兆円を超える見通しというけれど・・・

 軍艦島(長崎市)

人口が最盛期を迎えた1960年には5,267人の人口がおり、人口密度は東京特別区部の9倍以上に達した。炭鉱施設のほか、住宅・学校・店舗・病院・寺院・映画館・理髪店などもあり、島内において完結した都市機能を有していた。

主要エネルギーの石炭から石油への移行(エネルギー革命)により衰退。1970年代以降のエネルギー政策の影響を受けて1974年1月15日に閉山し・・・無人島となった。この時期は、日本の高度経済成長の終焉と重なる。

同じく炭坑の町としてかつて栄えた夕張市も今年、財政破たんした。

1990年に最後まで残っていた三菱石炭鉱業南大夕張炭鉱が閉山。元々炭鉱により開かれた町であり、大規模な農業にも向かない地域であった上、石炭産業以外の産業基盤が皆無同然だったため雇用の受け皿がなく人口が激減。現在では・・・全国で3番目に人口が少ない市である。(wikipedia

夕張、嘆きの山…市で事実上の解雇通告も(11/20読売新聞)

 図書館、プール、市営球場は廃止。共同浴場や公衆便所も閉鎖。なのに最高で年16万円の負担増。360億円の借金を抱えて破たんし、財政再建団体 となる北海道夕張市の今後の市民生活が見えてきた。市民1万3000人のうち65歳以上が40%に上る高齢化率全国一の旧炭鉱町。20年後の返済完了を目 指し、全国最低のサービスでしのいで行くことになる。

対照的に、トヨタ城下町はすごいことになっている。

  トヨタ本社工場(愛知県豊田市)

愛知・豊田市が法人市民税最高 トヨタ好調反映387億円
(11/25中日新聞)

 愛知県豊田市は24日、本年度の法人市民税が当初見込みより124億円増えることを明らかにした。市内に本社や工場が集中するトヨタ自動車をはじめ、自動車関連企業の業績の好調さを反映した。この日の記者会見で鈴木公平市長は「増額がこれほどの規模になるとは…。予想外」と述べた。・・・過去最高だったバブル経済期の1990年度の334億円を上回ることになる。

4 :名刺は切らしておりまして :2006/11/25(土) 04:20:37 ID:v1BSWcxz
    さすが企業城下町。
    トヨタが衰退していくときに、一緒に空中分解していくんだろうなw

6 :名刺は切らしておりまして :2006/11/25(土) 04:26:26 ID:DNlZCFl9
    >>4
    家電業界の衰退で関西が地盤沈下、トヨタが衰退すれば東海地区も壊滅で    そのときは日本が経済大国の看板を下ろすときだな。

10 :名刺は切らしておりまして :2006/11/25(土) 04:49:57 ID:h8eirV5t
    豊田市もそんな金貰ってるんなら保見団地をなんとかしたれ。旧住民の老人は引越す金もなく、ヨハネスブルク並の治安の悪さに耐えて生活してるし。そもそもトヨタが招いた惨状なんだから。

    >幹線道路整備と名鉄三河線の高架化
    やる前に公立学校で外国人労働者の子供なんとか汁。奴ら日本語も喋れないでギャング化してるし。

14 :名刺は切らしておりまして :2006/11/25(土) 05:02:45 ID:vcEsPRMf
    日立市とはえらい違いだな。

37 :名刺は切らしておりまして :2006/11/25(土) 14:08:20 ID:9jCc7Qpy
    トヨタがこけたらデトロイト並の治安だろうな

38 :名刺は切らしておりまして :2006/11/25(土) 14:15:27 ID:cSixyDOd
    まさにロボコップのオムニ社状態

41 :名刺は切らしておりまして :2006/11/25(土) 14:24:02 ID:/ntV4NbM
    夕張も五十年前はこんな感じだったんだろうな

59 :名刺は切らしておりまして :2006/11/25(土) 21:26:41 ID:1qn/UbMA
    期間工の血で購った387億円

http://news18.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1164395812/l50


そのトヨタのせいだろうか?かつて自動車産業のメッカだったデトロイトは衰退著しく、アメリカ最悪の犯罪都市となってしまっている。

同じような風景を私は以前アメリカのデトロイトで見たことがあります。ゴーストタウンと呼ばれるその街は、かつてのフォード城下町としての繁栄を凋落を体現しているのでした。そこでの、人工の巨大建築物の衰える様子の悲しさ・そこのすさんだ暮らしは、人間の営みのもろさと愚かさと愛おしさを感じさせるものでした。
デトロイトと軍艦島の共通点、それは、巨大建築物が滅びていくというところにあります。つまり、一つの産業のみに依拠していた町が、その産業の衰退とともにすさんでいく現実です。(写真家・雜賀雄二さんの軍艦島写真集への感想)

アメリカはかつて鉄鋼や家電を捨てたように、今や自動車を捨てようとしている。とはいえ、フラット化した世界で産業構造の転換を果たし、ITや金融なんかでは完全に世界を支配している。

期間工とか格差問題でなにかと話題のトヨタだけど、そもそも1人あたりGDPが世界トップクラスに成熟した日本社会で、これからも製造業が雇用や競争力を維持していけるのだろうか?世界的に見れば、日給9000円の期間工だって「勝ち組」なわけで、ライバルはトヨタの正社員ではなく、背後にいる中国人やベトナム人なわけで・・・

【参考】
軍艦島に興味をもった人は以下のサイトも是非見てみて下さい。
心揺さぶられます。

軍艦島オデッセイ

軍艦島 Version3.0

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November 15, 2006

破壊神グーグルによる真の「予想外¥0」

グーグルは今度は携帯も無料にするつもりらしい (メディアパブさん経由

CNNの記事(ロイター配信)のポイントを要約すると、

・ターゲットを絞ったモバイル広告によって将来、携帯電話の料金は無料になる。
・実際には、新聞が広告収入を得ながらも無料でないように、完全には無料にはならないかもしれないが、かなり安くできる。
・テキストや、ブランドイメージ、ビデオの広告を携帯のスクリーンに送る実験を始めている。
・先進的な取り組みとして、ワンセグやモバイルコマースが進んでいる日本で提携に成功した(auのこと)
・グーグルは、やがてモバイル広告の収入が現在のPC上のテキスト広告に匹敵する規模になる、とみている。

待機中の携帯のスクリーン上に絶えず広告が送られてくる仕組みのようだ。 既にPCを通じてがっちり集めた各ユーザーの趣味趣向の情報に、モバイルのGPSを通じた位置情報を組み合わせれば、相当に効果的な広告が打てるということでしょう。孫さんのインチキ広告とは違って、本当に価格破壊が実現しそう。

時期については、「今すぐにではない」という以上に記事の中では明言してないけど、実現したらLBOで1兆7千億も投じて綱渡りのソフトバンクは、マジでやばいことになるのでは?グーグルと早々に提携したauは広告収入で生き残れることになるのだろうか?

この記事の中では、携帯以上に重要なことに触れている。

グーグルが膨大な個人情報を保有するにつれて、「自分のデータは誰のものか?」という議論が起きているが、それについてCEOのエリック・シュミットが明確な方向性を示している。

・データは人質ではない。個人データのコントロール権をユーザー自身に認める。
・携帯電話でいうナンバーポータビリティーのように、検索履歴などの個人データをエクスポートして移動できるようにする。法律に強制される前に、自発的にそうする。
・囲い込みからオープンに向かうインターネットの流れに応えるもの。

目下敵なしのグーグルにとって、一番恐れていることは、「ユーザーのグーグルに対する警戒心が高まること」だろう。喜んでデータを提供してもらい続けるためにも、「邪悪にならない」というメッセージを発信し続けることが重要だし、ユーザーフレンドリーであることをアピールし続けることが生命線。その意味で、「個人データはあなた自身のものですよ」という安心感を与えるメッセージは重要なのだろう。

【追記】

と書いていたら、タイミングよくこんな記事が

Yahoo!とVodafone、英国でのモバイル広告で提携

本家ボーダフォンもヤフーと手を組みましたか
日本でもソフトバンクは、ヤフーと一緒に収益源を広告にシフトしていけるかがポイントになってくるのかも。

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November 13, 2006

イギリスの超おすすめコメディアン

イギリスのコメディアン、ボラット(Borat)の主演映画が全米で公開されて大ヒットしているらしい。

前からYouTubeでお気に入りだったんだけど、このboratってむちゃくちゃ面白いです!
こんなのが放映できるのか?!ってくらい、あり得ないような差別発言とかブラックユーモア連発しまくり。
キワドイというか、完全にアウトだろ!ってものばかり。
実際、この人自身もユダヤ人だから許されているみたいで。

YouTubeに動画が山ほどあるので、興味のある人はどうぞ。
英語もわざとカザフスタンなまりにしてるけど、けっこう分かりやすいです。
決して英会話教材には向かないけど(笑)

日本でも早く公開されないかな。
絶対ブレイクすると思うけど。

*Boratの詳しい紹介はこの辺を↓

青木陽子の東京-ロンドン編集後記 | カフェグローブ

scratch | 20061108

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November 02, 2006

日本人に中東情勢が絶望的に理解できない理由

これ圧巻。中東5000年の血で血を洗う歴史を90秒のフラッシュでみられる。(POLAR BEAR BLOGさん経由

島国の日本人には、この歴史の重みは感覚的に死んでも理解できないんだろう。

佐々木さんがソフトバンクの例え話に挙げていたモンゴル帝国の版図の大きさもこうして改めてみると特にすごい。

以前に旅行でいった中東の景色を見て思ったのは、当たり前だけど日本と違って、国境を画する海もなければ、行く手や視界を遮る山林もない。一面だだっ広い砂漠や平原が延々と地平線の向こうまで続く。都市に城壁を築く以外には自分たちの集落や国を防ぐなんの地理的防壁がない。こういう景色の中を、東からは馬にまたがったモンゴルやトルコの騎馬隊が、西からは十字軍やエジプト人が入れ代わり立ち代わり攻めてくる。この地域の人々には、身を隠すところのない広場にいるネズミみたいな不安と恐怖感が常にあるのだろう。

現代においても、エルサレムの問題を解決することは、絶望的に不可能に近い。どんな偉大な政治家がでてきても無理。現実的な利害打算によって対立している問題なら、政治的に妥協の余地を見出せる。だけど、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教のそれぞれにとって聖地であり、「神が自分たちに与え給うた土地」だと信じちゃってるんだから。神の言葉は絶対であり、世俗の政治家による、あらゆる妥協は神への裏切りを意味する。信仰が世俗のあらゆる法律や国際ルールや政治力を超越するプラットフォームである以上、政治的な解決はどうやっても考えつかない。

この中東問題の複雑さに比べれば、北朝鮮の問題なんて、なんてことはない。
現人神であるショーグンさまは、暗殺なんかしなくたって放っておいももうじき糖尿病で死ぬんだろうから(笑)

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October 24, 2006

僕らはグーグルの巨大な磁力に知らぬ間に動かされている

グーグルの戦略を見ていると、いつも【compelling】という単語を思い出す。動詞の【compel】とは「人に何かを強制する」という意味だけど、転じて形容詞【compelling】は「すばらしい」というポジティブな意味をもつ。つまり、「人の心を引きつけて放さない」「すごすぎて無視できない」という感じ。compelling movie といえば、すごく魅力的な映画という意味になる。

例えば、日本国家が住基ネットや盗聴法を導入しようとすると猛反発したり、中国の人権侵害を非難する人たちが、なぜGmailやグーグルofficeを喜んで使い、自ら進んでプライバシー情報をグーグルサーバーに放り込むのか?

これは考えてみるとすごく面白い現象だ。要は「北風と太陽」というか、レイプ魔と口説き上手のモテ男とのちがいというか。つまり同じ目的を遂げるにも、やり方次第ということ。

グーグルは、使わずにはいられないほど魅力的で便利な(つまりcompellingな)サービスを次々と繰り出すことで(しかも無料で!)、パクッと食い付いてきたユーザーに、いかに自発的にデータを提供してもらうかに腐心している企業だと言える。[関連]グーグルの領土拡大図

なんのために?グーグルという組織を一言で言ってしまえば「情報フェチ」なんだと思う。上場してるくせに金儲けのことよりも、世界中の情報をかき集めてきて、オーガナイズすることに無上の喜びを感じる連中。ラリーとセルゲイはもともと上場に反対だったっていうし。

グーグル学の泰斗essaさんも同じようなことを言っている。

ビジネスモデルとして劣悪であっても、より多くの「アトムのビット化」を継続的に行なえるようなプランがあったら、グーグルという会社の中では良いプランとして評価されるのではないだろうか。

だから、 "scanning every ATOM on the earth" は、結果として、利益の極大化を目的にした普通の企業のやることによく似ている。でも、それはたまたま二つの原理が行動として同じ結果を産むというだけの ことだ。外部から観察できる行動にはそれほど違いは見えなくても、組織を駆動する原理は全然違うものかもしれない。( scanning every ATOM on the earth)

そういう意味で、YOUTUBEを買った目的も、なによりYOUTUBEが保有している膨大な動画データが欲しかったという仮説は成り立たないか?優秀なボットをクロールさせなくても、放っておけば世界中のユーザーが世界中の動画を毎日勝手にどんどん投げ込んでくれる巨大なバケツを。世界中のリビングルームに散逸している動画アーカイブを労せずして集めると同時に、CGMも自由に投げ込んでもらう。テレビ局から抗議を受けて、いまはYOUTUBE上で公開していない動画だって、サーバーの中には残っているだろうし。

企業してのグーグルが、テキストサイトにおけるadsenseという大発明により成功したように、動画広告でも画期的な広告手法を開発して大もうけするかも知れない。だけど組織を動かしている本当の欲望は金もうけじゃなくて「情報フェチ」なんじゃないかと。

話は戻って、次の記事もグーグルのもつcompellingな力をうまく表現している。

「表面に見えているのは、あくまでもグーグルが選んだ“外向きの顔”に過ぎない。同社は、テーブルの下に磁石を隠し持っており、テーブルの上にある金属の球を操っているのだ。そして、磁石の存在が見えなければ、人々は球が勝手に転がっていると思い込んでしまうものなのだ」(レンセン氏)

 同氏の言葉を借りれば、グーグルが世界に向けて提示しているアプリケーションやサービスは金属の球、秘密にしているアーキテクチャが磁石ということになる。その磁石の部分こそが、グーグルの最大の強みであり、なおかつその詳細が外部から見えないからこそ、グーグルのビジネス戦略はきわめて分かりにくいのである。 (Web界の巨人「グーグル」の果てしなき野望

compellingという言葉がもともと両義的で、ポジティブでもありネガティブな意味ももつように、グーグルの巨大な磁石に自分たちがいつの間にか動かされていることについては、当然ユーザーの間で賛否両論が巻き起こる。梅田さんのエントリーに対する、コメントやはてブコメントを見ると、「奢れるもの久しからず。私ならYoutube買収がGoogle凋落のきっかけになるほうに賭けます」とか「みんなgoogleが大好き」とか、グーグルに対するイメージが見事に分裂していて面白い。

良い権力か悪い権力かはともかく、もはや強大な権力者になってしまったnon-stop trainのことは、もはや誰も無視できなくなった。ブログを眺めても一億総グーグル評論家みたいな状況になっている。再びessaさんいわく

20世紀の人文学が「核戦争」というテーマに取り憑かれていたように、21世紀に人文学というものの意味があるとしたら、「グーグル八分」を自分の言葉で語ることから逃げられない。

グーグル八分に限らずとも、21世紀の政治、経済、法律、テクノロジー、あらゆる分野において、インターネット政府たるグーグルを抜きに語ることはできなくなってしまった。

福島県知事じゃないけど、絶対的権力は絶対に腐敗する。今は「dont be evil」と無邪気に言っているネット政府のHAL化をいかに防ぐか?
長くなったので、また次回書きます。

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October 13, 2006

「腐海」化した北朝鮮の最終処理に入った

北朝鮮の崩壊カウントダウンは確実に進んでいるようだ。

ことここにいたって「核放棄させて国際社会に復帰させる」とか「六カ国協議の再開を」とかいう評論はトンチンカンもはなはだしい。キ●ガイが刃物を持った北朝鮮にビビって、「戦争が始まる」とか、「日本も核保有せよ」とか危機感をあおっているのは一部右翼であって、虚像におびえずに冷静に北朝鮮の現状をみる必要がある。

前回も書いたように、北朝鮮という国家は「お前はすでに死んでいる」状態にある。ではなぜ生き延びているかと言えば、日本やアメリカが兵糧攻めにする一方で、中国と韓国が鼻チューブでミルク補給(経済支援)をしてきたからだ。

だから特に中国が原油や食料の供給を止めたその瞬間に、北朝鮮は崩壊する。北朝鮮の命脈は完全に中国が握っている。北朝鮮は周辺諸国の都合によって無理やり延命させられている瀕死の患者にすぎない。

怖い顔のライスさんが東アジア諸国を回りにきたのは、今さら北朝鮮に核を放棄させるための相談にきたのではなく、いかに北朝鮮を安楽死させ、その後の処理をどうするかということこそが主題のはずだ。もちろん表向きはそんなことはおくびにも出さないだろうが。

ではなぜ今まで北朝鮮は延命させられてきたのか?

ハードランディング(戦争)を避けたいというのももちろんあるけど、より面倒なのはその先だ。テレビゲームであれば、悪役の金正日を倒せば、ゲームクリアでめでたしとなるだろうが、現実の世界はもっと複雑だ。金正日がいなくなった世界が今よりもすばらしくなるとは限らない。

北朝鮮がもっている最大の抑止力は、よく言われるような核兵器ではなく、北朝鮮という国家自体がナウシカの「腐海」みたい存在だからだ。金正日体制が続くのは迷惑だが、腐海のトビラが開いて、紫色の胞子が周りに拡散して、自分も被害を受ける方がもっと恐ろしい。

中国には大量の難民が押し寄せるだろうし、なにより、緩衝地帯だった北朝鮮がいなくなれば、地球上に残った数少ない社会主義国である中国の共産党政府は、アメリカと直接対峙することになる。韓国にとっては、東ドイツ以上に荒廃した半島の半分と、そこの洗脳信者達を立ち直らせるための経済的、社会的なコストは莫大なものになる。日本にとっても、中国とアメリカという超大国に挟まれ、反日で団結した統一朝鮮半島が現れる世界は、今よりも望ましいだろうか。

また北朝鮮の後処理でだれが主導権を握ることになるのか?中国?アメリカ?第二次大戦で日本とドイツを打ち負かした瞬間に、鉄のカーテンが降りて冷戦が始まったように、また新しい紛争の火種は生まれる恐れはないのか。

つまり、金正日亡き後の東アジアが、今より安定するとは限らない。 だから北朝鮮国内で無辜な人民が数百万人も餓死していようとも、北朝鮮国内の害悪は北朝鮮国内だけに封じ込められている現状の維持が一番いいと周辺諸国は本音ベースでは思ってきた。

だけどそれは「事態の先送り」にすぎない。日本の不良債権問題と一緒で、塩漬けにしておいても状況は好転するどころか、むしろ傷みがはげしくなるだけだ。

今後の流れを見極めるためのポイントは、中国の出方につきる。中国がもし本気で国連の制裁決議を守れば、北朝鮮は崩壊してしまう。胡錦濤がそのボタンを押す勇気があるかどうか。勇気と言うよりも計算と言った方が正しいか。国際社会はその一点をみつめている。

さらにさらにナウシカをなぞって、もっと話を飛躍させれば、社会主義国が消滅して、65億人がむき出しの欲望を追求する今の世界がいつまで存続可能なのだろうか?やっぱり地球のためにも、「火の七日間戦争」が起きて、腐海に一度覆われた方がいいのかも!?

(highly inspired by  「溜池通信」 必読! 全文引用したいほど鋭い示唆に富んでます)

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«問題は核じゃない。経済だ、愚か者!