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November 19, 2005

Amazonと機械仕掛けのトルコ人(後編)

 Google BaseとかGoogleが立て続けにリリースする新サービスの陰に隠れてしまってか、ブログ上でもあまり活発に取り上げられていないようだが、Mechanical TurkというサービスもまさにWEB2.0的な、場合によってはかなり大化けしそうなポテンシャルをもっている気がする。

 このサービスは要するに、アマゾンというサイバー市場で、今後は本やCDと並んで「労働」という商品も陳列されるということだ。床屋とか道路工事とかリアルな仕事は無理にしても、オンラインで処理できるようなオフィスワークに関しては、誰でも簡単に世界中の労働者に向かって外注できるようになる。これは今も急速に伸びている海外アウトソーシングを一気にコモディティ化(だれでも簡単に利用できる)することであり、しかも1分でできるようなbitなサイズにまで作業を小分けして外注できるので、まさに「労働市場のロングテール」を実現するものだ(参考)

 従来、労働という商品は移民や出稼ぎという形で生身の人間が動く以外に国をまたいで移動することはなかったが、近年はITの進歩によって、ソフト開発とかコールセンターなどについては、海外アウトソーシングが急速に伸びており、アメリカでは「国内の職を奪うものだ」と政治問題化もしているようだ。

【海外アウトソーシングの現状の参考記事】

海外アウトソーシング:結局問題は何なのか?
資本主義、貿易、海外アウトソーシング
日本人として海外アウトソーシングに向き合うと
ITで変わる世界 変わらぬ日本
加速するサービス業の海外アウトソーシング

Mechanical Turkを体験したアメリカ人の間では「1回3セント?マクドナルドより安い時給の仕事を誰がやるか!」とブーイングが起きているようだが、梅田さんの言う「グーグル経済圏」においては、

それはフルタイムの安定した仕事に従事する「持てる者」の発想だ。グーグル経済圏に最も敏感に反応するのは「持たざるもの」である。学生時代に月二万円、三万円の家庭教師の仕事がどれほど意味あるものだったかを思い出そう。

ライバルは時給700円でも働く学生ばかりでない。われわれ先進国の高給取りな労働者と、時給70円で喜んで働く国の人々とが同じ巨大な土俵の上で戦わなくてはならなくなる。世界は平らになりつつあるのだ。1回3セントの給料が高いか安いかは、ボーダーレス化した労働マーケットが決めることだ。

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November 18, 2005

Amazonと機械仕掛けのトルコ人(前編)

TURKAmazonが Mechanical Turkというけったいな名前のWEBサービスを始めたという。

18世紀、毛皮のローブをまといターバンを巻いた「機械仕掛けのトルコ人」がチェスであらゆる対戦者を破り、ヨーロッパ中の人々を驚かせた。発明したハンガリー人貴族は「人工知能を備えた機械を発明した」と観客を信じ込ませたが、種を明かせばなんのことはない、機械の中にチェス名人が潜んでいたという昔話がある。

この話をなぞり、アプリケーション開発という機械作業の中に、「生の人間」を組み込んでしまおうというアイデアらしい。

Amazonの説明を要訳すると、

 わが社はコンピュータを使って複雑なソフトウェアを開発してきたが、いまだに人間なら子供でもできるのに、コンピュータにはできないような作業がある。例えば、ある写真の中に人間が映っているかどうかを見分ける作業とか。今までは人間がコンピュータに仕事をさせてきたが、立場を逆転させ、コンピュータが人間に仕事をやらせてみてはどうか?プログラミングのプロセスに人間を組み込んでしまおう。

つまりコンピュータが苦手とするような作業を人の手を借りてやろうというもの。アプリケーション開発者にとっては、煩雑な手作業を世界中のPCユーザーに外注でき、PCユーザーにとっては空いた時間を利用して小銭を稼げる。Amazonはその仲介料を抜くって仕組みだ。Ringo’sWeblogさんの表現を借りれば、

「関数呼び出しの中に人がいる」という状況は、圧倒的に面白い。
人間を構成要素として使うための、まったく新しいプログラミング言語の登場が予期される。
こういうのを見ると、Webが、いよいよ本物になってきた感じがする。

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